窯業系(ようぎょうけい)サイディングは戸建て住宅外壁の7割以上を占めているメジャーな外壁材です。
そのメリット、デメリットや塗料の選定について考えてみましょう。

メリット

耐火性

窯業系サイディングはセメントと繊維を混ぜて成形したものなので、防火性に優れています。
建築基準法で定められた試験を合格し、国から不燃又は準不燃材料として認められています。

耐久性

JIS規格を満たしているので、外壁財としての耐久性はお墨付きです。
地震による被害調査でも、剥離・脱落がほとんど見られず、地震に強いことが確認されています。

防水性

要業系サイディングは、通気工法という施工方法によって雨漏りしにくい構造になっています。
通気工法とはサイディングの裏に通気層と呼ばれる隙間を作り、さらに防水紙によって屋内側への雨水の侵入を二重に防ぐ工法です。
通気層を設けることによって湿気を外に排出することができるので、湿気による木材の腐食やダメージを防ぐことができます。

デザインバリエーションが豊富

窯業系サイディングのデザインには、レンガ調、タイル調、木目調など豊富な種類があり、とてもお洒落です。
そのようなデザインのサイディングのことを、「意匠性(いしょうせい)サイディング」と言ったりもします。
元々のデザインを生かすために塗り替えはクリア塗装が標準ですが、10年以上メンテナンスされていないと外壁の痛みが目立ってしまい、クリア塗装では痛みをカバーできませんので通常の塗装になってしまいます。
意匠性サイディングは早めのメンテナンスをお勧めします。

デメリット

こまめなメンテナンスが必要

塗料の種類にもよりますが、10年を過ぎると徐々に傷みが目立ってきます
例えば...

  • 藻やカビの発生
  • サイディングの表面を手でこすると、白い粉が付く(チョーキング)
  • コーキング(シーリング)の劣化、剥離
  • 亀裂(クラック)や反り、うねり

などです。
もし上記の状態のままで放っておくと、サイディングが水を吸ってしまいボロボロに崩れてきます。そうなると張り替えるしかなくなり、余分な出費になってしまうでしょう。
窯業系サイディングの防水性はこまめなメンテナンスがあって初めて発揮されます。

蓄熱性が高い

窯業系サイディングは熱を蓄えやすい性質を持っているので、夏はエアコンが欠かせません。
昼間に蓄えた熱が夜に放熱されるので、夜になっても暑さが続いてしまいます。
そのような場合、遮熱塗料や断熱塗料を使用すると、表面温度が20℃近く下がるので快適になります。

塗料(特に下塗り材)の選定に注意が必要

蓄熱性があることと関係があるのですが、夏場はサイディングの表面温度が80度近くまで上がるので、弾性塗料を使用すると塗膜が柔らかくなり膨れてしまう危険があります。

また専用の下塗り材を選ぶことも大切です。
モルタル外壁の下塗り材として使用されることの多い「微弾性フィラー」は、窯業系サイディングには向いていません。塗料の膨れや剥がれの原因になりやすいです。
専用の下塗り材としてこちらを使用しています。

窯業系サイデングだけでなく、コロニアル(スレート屋根)にも使用可能です。

傷みが激しい場合は、シーリングとサーフェイサーで補修します。

そして「難付着性サイディング」と呼ばれる窯業系サイディングも注意が必要です。
難付着性サイディングとは光触媒、無機系、親水性、フッ素などでコーティングされたサイディングで、非常に痛みにくいのが特徴です。
築10年経過しても艶が残っておりチョーキングが発生しませんし、ラッカーシンナーという強溶剤で壁を拭き取っても塗料が溶けません。
素晴らしい外壁材ですが、その特徴ゆえに専用の下塗り材を使用しないと、塗膜が全部剥がれてしまうという恐ろしい結果になってしまいます。
専用の下塗り材としてこちらを使用しています。

コロニアルだけでなく、木部下塗りとしても使用できます。

難付着性サイディングは無機物でコーティングされています。
無機物には無機系のシーラーが密着しやすいですので、ハイブリットシーラーが必要となってきます。